密会と耳鳴り

それこそ密会と耳鳴りと出会ったのはMIKROCKでした。僕が音響スタッフを務めるステージに登場した彼女たちは「とんでもない暴れん坊」だと風の噂で聞いていたので構えて臨んだのを覚えてます。そのとき見たライブは噂通りの暴れん坊っぷりとは裏腹にアスリートの雰囲気すら漂うソリッドな演奏に驚いたのを覚えています。アスリート感のあるミュージシャンは意外といなくて、それが破壊的なステージングと共存しているとなるとなおさら。フュージョンあがりのハードコアパンクバンドBad Brainsに通ずるような奇妙なバランス感覚のバンドだなと思った。そんなイメージから意気揚々とハードコアパンクの話をしてみたのですが返ってきた返答が「パンクが何かわかってない」で更に最高。彼女たちが提唱するパンクとはあくまで自分たちの表現を突き詰めた結果で、前提は何もなく、即ちそれってパンクの一番核心の部分だよねと思考が堂々巡りを始める。僕がパンクロックが好きなのは生まれて広まって廃れるまでが非常に早く、世界中でご当地パンクが生まれ、様式美化する前にムーブメントとして終わったので今聴いても尖った音楽として楽しめるバンドがたくさんいることです。もはやパンクという言葉に何の力もないというか…。その観点で彼女たちの様式美ゼロの音楽は間違いなくパンク。何故そこまでストイックに演奏するのか？多分そこにも理由はなさそう。純然なるパンクアスリート！